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RPAによる産前産後/育児休業等取得者申出書の自動化

更新日:2026/4/3(初回投稿日:2021/4/9)

RPA 社労士 まとめ6

こんにちは。AI・RPA 社労士のためのDX研究会 事務局です。

今回は「産前産後休業取得者申出書変更(終了)届」「育児休業等取得者申出書(新規・延長)終了届」の2種類の内容を題材に、RPAの組み方や考え方について解説いたします。


対象となる2つの申出書

まずは対象となるExcel帳票を確認します。

  • 「産前産後休業取得者申出書変更(終了)届」をExcelで開いた画面
社労士 RPA 産前産後休業取得者申出書
  • 「育児休業等取得者申出書(新規・延長)終了届」をExcelで開いた画面
社労士 RPA 育児休業等取得者申出書

多少の違いはあるものの、レイアウトや入力項目はよく似ています。
実務ではセットで使用することが多く、動作内容もほぼ共通なため、今回のロボットはこの2つの帳票をまとめて自動化する前提で設計しました。

ロボット全体の流れ

今回作成したロボットの大枠は、次のとおりです。

  1. RPA用Excel(入力元)から情報を参照し、変数に格納
  2. 「産前産後休業取得者申出書変更(終了)届」または「育児休業等取得者申出書(新規・延長)終了届」に入力
  3. 入力が終わったら、指定のフォルダへ保存
  4. 対象人数分だけ、①〜③を繰り返し実行

必要なファイルは、「RPA用Excelシート(入力元)」「各申出書のExcel帳票(入力先)」の2種類です。

「ものすごく膨大な作業ではないけれど、地味に手間と集中力を持っていかれる」――そんな業務ほど、RPAによる自動化の効果が大きくなります。

社労士専用ソフトとの連携も可能

今回は説明しやすいようにすべてExcel内で完結するパターンとしてご紹介しましたが、実際には「事業所情報」「従業員情報」などを、社労夢・SmartHR・セルズ・オフィスステーション・給与奉行といった社労士専用ソフトから取得し、RPA用Excelへ自動転記したうえで申出書に反映させる、といった構成にすることも可能です。


こだわったポイントは「RPA用Excel」と「〇をつける動作」

今回のロボット作成で、特にこだわったのは次の2点です。

1. RPA用Excelのフォーマット設計
2. 申出書内の「〇(丸)」をつける動作の実装

RPA用Excelのフォーマット設計は、過去のコラムでもたびたび登場しているとおり、今回のロボットでも必須かつ重要な要素です。今回は、次の4つのシートで構成しました。

社労士 RPA Excelシート
  • 「RPA産休育休リスト」
  • 「事業者情報」
  • 「産休育休リスト変換」
  • 「丸」

完成度の高いRPA用Excelシートが整い、今後のさまざまな業務自動化にも応用できる「型」になっています。このRPA用Excelには、いろいろな自動化に横展開できるアイデアが詰まっているため、理解が進むと

「この仕組みを使えば、あの書類も、この書類もRPAで作れそうだ」

というイメージを持っていただけるはずです。


「申出書内の該当箇所に〇をつける動作」の実装イメージ

〇をつける対象となる項目

産前産後休業取得者申出書変更(終了)届、育児休業等取得者申出書(新規・延長・終了届)には、次のような「該当する項目に〇をつける」欄があります。

社労士 RPA 育休産休01
  • 被保険者の生年月日(和暦の選択)
  • 休業区分の選択
  • その他、複数選択肢からの該当区分 など

人が手作業で行う場合は、マウスで該当箇所をクリックして〇を配置しますが、このちょっとした作業も件数が多くなると意外と時間がかかります。

「〇の図形」をコピー&ペーストで使い回す
社労士 RPA 育休産休02

RPAで〇付けを自動化するにあたり、今回は次のような方針を取りました。

  1. 申出書側に、あらかじめ〇の図形を1つ作成しておく
  2. その〇をコピーして、該当セルにペーストする
  3. 必要に応じて矢印キーで微調整する

具体的には、RPA用のExcelブックに「丸」というシートを用意し、そのシート内に〇の図形だけを配置しておきます。

社労士 RPA 丸

ロボットはこの「丸」シートから〇をコピーし、入力先の申出書にペーストしていく、というイメージです。

そのまま貼ると「左上」に寄ってしまう問題

ここで1つ問題が生じます。対象セルを選択してそのままペースト(Ctrl+V)をすると、〇はセルの左上に張り付いてしまいます。

社労士 RPA 育休産休03

そのため、例えば「被保険者生年月日」の項目であれば、〇をペーストした後、〇が選択されている状態で矢印キー(→、↓)を押して位置を調整し、該当の和暦(昭和/平成/令和)の上に〇を移動させる必要があります。

ここで条件分岐を使い、選択された元号に応じて移動量(→・↓キーの押下回数)を変えることで、正しい位置に〇を置けるようにします。

矢印キー連打は「長押し」に置き換える

ただし、矢印キーを1回押すごとの移動量はごくわずかです。単純に「→を1回押す」を何十回も繰り返すと、シナリオも長くなり、処理時間も無駄にかかってしまいます。

ここで役に立つのが、EzRobotの「キー操作」機能にある次の設定です。

社労士 RPA キー操作1 社労士 RPA キー操作2
  • 押すキー:↓
  • 繰り返し回数:15回
  • 1操作ごとの待機時間:0.0秒

このように指定すると、「↓キーを15回、ほぼ待機なしで連続入力する」という、いわゆる「長押し」と同じ動きになります。少ないシナリオ行数で、〇の図形を一気に目的の位置まで移動させることができます。

〇付け作業を自動化するメリット

  • 1件ごとの作業時間の短縮(特に件数が多いほど効果大)
  • 選択ミスの防止(誤った項目に〇をつけてしまうリスク低減)
  • 他の入力項目と一体化した「ひな形ロボット」として再利用しやすい

今回ご紹介した「〇を図形として用意し、コピー&ペーストとキー操作で位置調整する」という考え方は、産前産後・育児休業関連以外の「チェック欄」でも応用が可能です。

今回のまとめ
  • 〇は図形として1つ用意しておき、RPAでコピー&ペースト
  • 条件分岐と矢印キー操作で、該当項目へ自動で移動
  • EzRobotの「キー操作」設定(回数+待機時間0.0秒)で長押し風に高速移動

RPA用Excelの詳細(4つのシート構成)

続いて、自動化の心臓部となるRPA用Excelについて詳しくご紹介します。

  1. 人が入力する用のシート(従業員情報)
  2. 人が入力する用のシート(事業者情報)
  3. ①をRPA用に変換するシート
  4. 〇の図形が入ったシート
① 従業員情報シート:人が入力するための台帳

産前産後の申請、育児休業の申請どちらにも対応できる共通フォーマットです。横長のシートのため、構造は1つの大きな表になっています。

社労士 RPA 1 社労士 RPA 2
  • 2行目・3行目:入力例(サンプル)
  • 5行目以降:実際の入力行

1行目には「その列の情報が、申出書のどの項目に反映されるか」を記載しており、どのセルがどの帳票項目と対応しているのかが一目で分かります。また、定型的な選択肢はプルダウン形式にしています。

RPA プルダウン

なお、今回は「Excel内に入力済み」という前提ですが、社労夢・セルズ等の専用ソフトから値を取得して埋める構成も可能です。

② 事業者情報シート:事務所・事業所の共通情報
事業者情報

事業所名、所在地、事業主氏名、整理番号などの共通情報をまとめます。今回は「ひとつの事業所で使用する前提」で固定値入力としていますが、複数の場合は事業所コードなどで絞り込む拡張も可能です。

1行目を「細かく項目分け」している理由(RPA側の仕様)

あえて「セル結合」を使わず1セルずつ分けているのは、EzRobotの「リスト一括取り込み(1行目を変数名として扱う)」機能を利用するためです。結合すると一つの変数名として認識されてしまい、データを個別に扱えなくなります。見た目よりも「ロボットの正確さ」を優先した設計です。

事業所整理記号・郵便番号を「1桁ずつ」分ける理由

実際の設定例を見てみましょう。A1:事業者整理記号1、B1:事業者整理記号2…といった形で、1桁ごとに別々の変数名を設定します。

郵便番号についても同様に1マスずつ名前を振り、2行目以降の値を丸ごと一括で変数に格納します。

帳票側のレイアウトと1セルずつ対応させる

申出書側のレイアウトを見ると、整理記号や郵便番号が1マスずつバラバラに分かれて配置されています。Excel側もこれに合わせて「1マス=1変数名」に分割しておくことで、RPA向きのきれいなマッピングが可能になります。


③ ①をRPA用に変換する中間シートの役割

「従業員情報」は、対象者ごとに毎回変わるため、最初からRPA用に細かく分割して入力させるのは作業者の負担が大きく本末転倒です。そこで中間シートを活用します。

この中間シートは、人が入力した情報を、申出書のレイアウトに合わせてそのままコピー&ペーストできる形に分解(1セル1要素に)しておくためのシートです。

日付情報の分解イメージ

例えば「令和2年9月1日」という情報を、「令和」「2年」「9月」「1日」の4つに分解します。Excel側では「人が入力しやすい形」、RPA側では「帳票に流し込みやすい形」の両立が可能になります。

専用ソフトから取得するパターンでも、「一度Excelを挟んで分解する」設計が最も扱いやすくなります。

具体例:日付の2段階分解テクニック

申出書のフォーマットは日付が1桁ずつ別々のセルに分かれているため、以下の2段階で分解しています。

  1. TEXT関数で「元号/年/月/日」を文字列として抽出
  2. MOD関数とROUNDDOWN関数で各桁をさらに分解

STEP1:TEXT関数による抽出

=IF(E2=””,””,TEXT(E2,”ggg”)) ‘元号
=IF(E2=””,””,TEXT(E2,”e”)) ‘和暦の年
=IF(E2=””,””,TEXT(E2,”m”)) ‘月
=IF(E2=””,””,TEXT(E2,”d”)) ‘日

STEP2:MOD/ROUNDDOWNによる桁分解

数値(年・月・日)を「十の位」「一の位」に分割する式です(例:H列の年を分解する場合)。

=IF(H2=””,””,MOD(ROUNDDOWN(H2/10,0),10)) ‘十の位
=IF(H2=””,””,MOD(H2,10)) ‘一の位

基礎年金番号と氏名の分解ノウハウ

基礎年金番号(4桁-6桁)も、同様のMOD/ROUNDDOWN関数を使って1桁ずつのセルに分解します。申出書側のマス目にそのまま流し込めるよう「下ごしらえ」しておくのがポイントです。

また、「氏名」の分解にはルール化が有効です。人が入力する段階で「姓と名の間に全角スペース」を入れるルールを徹底することで、以下の関数で安全に切り分けられます。

=IF(A4=””,””,LEFT(A4, FIND(“ ”, A4)-1)) ‘姓の抽出
=IF(A4=””,””,RIGHT(A4, LEN(A4)-FIND(“ ”, A4))) ‘名の抽出


実際の稼働イメージを動画で確認

Excel上で整理されたデータを「Excelから読み取り → 申出書へ転記」するだけの状態まで仕上げたロボットの動きです。

「ルール化」次第で広がるRPAの可能性

RPAは「人が考える作業はできない」と思われがちですが、「どのようにしてルール化するか」を工夫することで、一見人がやるしかないように見える処理でも自動化できるケースは想像以上に多く存在します。

一見ややこしく見える帳票でも、前処理をExcelで整理し、RPAで転記するだけの形に落とし込めば十分自動化が可能です。

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