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RPAによる被扶養者給与等支払証明書作成の自動化②

投稿日:2021-01-14
社労士 RPA 28

こんにちは。社労士事務所RPA研究会事務局です。

RPAによる被扶養者給与等支払証明書作成の自動化①」の続きを解説させて頂きます。

今回は、実際にロボットを組む際のポイントを3つに整理してご紹介します。


ポイント1:ロボットを分けて作成する

前回コラムでは、メンテナンス性向上のために「シナリオの整理」が重要という話をしました。
今回のロボットでは、あえてロボットを分割して作成しています。

  • 社労夢での動作(ログイン)

  • 給与・賞与テキストデータ作成

  • 被保険者基本情報のテキストデータ作成

これらは、ほかの業務を自動化する際にも共通して使える処理です。
そのため、それぞれを単体のロボットとして作成し、別シナリオから呼び出せるようにしました。

ロボットを小分けにすることで、

  • 修正箇所の切り分けがしやすい

  • 他ロボットから再利用しやすい

  • 将来的な仕様変更にも柔軟に対応しやすい

といったメリットがあり、結果として運用コストの削減につながります。


ポイント2:空白をあえて変数に格納する

今回のロボットは、社労夢の仕様に合わせた工夫が必要でした。

賞与テキストデータでは、賞与があった場合にしか行が出力されません。
(賞与なしの従業員は、テキストに1行も出てこない)

欲しいパターンは次の4つです。

  1. 賞与なし

  2. 夏季のみ賞与あり

  3. 冬季のみ賞与あり

  4. 夏季・冬季ともに賞与あり

このためロボット内では、

RPAによる被扶養者給与等支払証明書作成の自動化1

  • 賞与の有無と支給時期(夏・冬)を判定

  • 夏季か冬季どちらか一方しか賞与がない場合は、もう一方の変数には「空白」を格納

という制御を行っています。

理由は、繰り返し処理で同じ変数を再利用するからです。

繰り返しの中で「今回の対象者には賞与がない項目」があった場合、その変数を何も触らないままだと、
前回ループ時に格納された値がそのまま残ってしまいます。

そこで、

  • 「値がない」=「空白(今回のケースでは0円)」を明示的に変数へ代入

という一手間を加えることで、誤った金額が入力されるリスクを防いでいます。


ポイント3:Excelを加工してから変数に格納・入力する

給与テキストデータでも同様に、給与支払のない月はデータ自体が存在しません。

例:

RPAによる被扶養者給与等支払証明書作成の自動化2
1月の次が4月になっている場合、2月・3月の情報が存在しない状態です。

このときもポイント2と同様に、2月分・3月分の変数に空白(0円)を格納したい状況が発生します。

賞与は4パターンの判定で済みますが、給与の「支給されている月」の組み合わせはもっと多くなります。
条件分岐を細かく増やして対処することも可能ですが、シナリオが複雑になりがちです。

そこで今回のロボットでは、次のように設計しました。

RPAによる被扶養者給与等支払証明書作成の自動化3

  1. まずExcel上で「給与支払のない月の行」を追加して、全月分の行が揃った状態に加工する

  2. 加工後のExcelをもとに、1行ずつ変数に格納し証明書へ入力していく

先にExcelを「人間が理想とする形」に整えてしまうことで、

  • RPA側の条件分岐を大幅に減らせる

  • シナリオがシンプルになり、読みやすく・修正しやすくなる

といったメリットがあります。


まとめ

今回のポイントを整理すると、次の3つになります。

  • 再利用できる処理はロボットを分割し、ほかの業務でも使い回せる形にする

  • 繰り返し処理で誤値が残らないよう、**「空白もあえて変数に入れる」**という発想を持つ

  • 条件分岐を増やす前に、Excel側を理想形に加工し、その結果をRPAで読み込む構成を検討する

RPAは「ソフト単体の機能だけで完結させよう」とすると、どうしても複雑になりやすいです。
Excelなど他のツールと組み合わせて設計することで、むしろシンプルで安定したロボットになるケースが多くあります。


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