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RPA EzRobotによる雇用保険被保険者資格取得届の作成を自動化

更新日:2026/04/20(初回投稿日:2021/3/1)

雇用保険被保険者資格取得届の作成を自動化

こんにちは。AI・RPA 社労士のためのDX研究会 事務局です。

今回は、ハローワークの雇用保険被保険者資格取得届を例に、RPAで自動化するロボットをご紹介します。

実用として使用するケースは少ない内容かもしれませんが、構築していく上での考え方が、多くのシナリオで応用が可能な内容となっております。

まずは「どのような流れでシナリオを組むか」という構想から考えます。

人が作業する場合の流れは次のとおりです。

  1. CSV・Excel・専用ソフトに入力されている取得者情報を参照し、ハローワークインターネットサービスへ入力する
  2. 入力後にPDFなどへ出力し、帳票を作成する
  3. 資格取得者の人数分だけ、この作業を繰り返す

まずは、この①の考え方を解説します。
例ではExcelを使用しますが、基本的な考え方はどのツールでも同じです。


■ 転記の考え方が重要

まず「どこからデータを参照し、どう貼り付けるか」を決めます。これはロボットを作るうえで非常に重要なポイントです。

例として「被保険者番号」を見てみましょう。

ハローワークインターネットサービスでは、被保険者番号の入力欄が3つに分かれています。

しかし、Excelでは1つのセルにまとまっている場合があります。

Excelでは1つの情報ですが、転記先は3つです。
この場合、ロボットの中で3つに分割する処理を加えるよりも、Excel側であらかじめ3つのセルに分けておくほうが効率的です。

このように、転記先の仕様に合わせて、コピー&ペーストしやすい形に整えることが大切です。
Excel関数を使えば、1つのセルから3つへ分割する処理も簡単に行えます。

■ まず整理することでロボット作成がスムーズに

RPAで作業を自動化する際は、最初にこのような準備を行うことで、ロボットが非常に作りやすくなります。

■ RPAに“判断”はできないためルール化が必要

RPAは人間のように直感的な判断ができません。
そのため、あらかじめ 入力規則をルール化する作業 が必要です。

例えば通知表作成の場合、
「点数は低いが授業態度が良いのでおまけする」という判断は
人間の“感情による判断”ですので、RPAにはできません。
もしロボットに判断させたいなら、「授業態度:良い/悪い」という項目を作る必要があります。

■ 被保険者番号を3つに分ける理由

今回の「被保険者番号」も同様です。

  • 転記先(ハローワーク)は 3つの入力欄
  • 転記元(Excel)は 1つのセル

このズレを埋めるには、RPA側で分割処理を行うよりも Excel側で最初から3分割しておく 方が効率的です。

コピー&ペーストだけで転記できるようになるため、ロボット作成が格段にスムーズになります。
Excel関数で自動的に分割することも可能です。

■ 「変数」機能を使うと効率が向上

EzRobotでは、転記作業に 変数 を使用します。
変数とは簡単に言うと「複数の情報を一時的に保存できる箱」のようなものです。
単純にコピー&ペーストするためだけでなく、より複雑な処理にも応用できます。

■ 取得区分はペーストできないので工夫が必要

雇用保険被保険者資格取得届の「取得区分」は ドロップダウン形式 のため、文字の貼り付けができません。

この場合は次の2つの方法があります。

① クリックで選択する場合

  • Excelが「新規」 → 画面上の「1:新規」をクリック
  • Excelが「再取得」 → 画面上の「2:再取得」をクリック

このように 条件分岐 を使って操作します。

② キーボードで選択する場合

  • Excelが「新規」 → 「↓」を1回押す
  • Excelが「再取得」 → 「↓」を2回押す

こちらも条件分岐で対応できます。

● ③ 条件分岐を使わず「変数」で処理する方法

よりスマートに処理したい場合は、 変数による制御 が便利です。変数は、単なるコピー&ペースト用の「箱」ではありません。使い方次第で、ロボットの処理を大幅に効率化できます。
ロボット作成者の発想によって、応用の幅は無限大です。

■ 条件分岐が多すぎるとロボット作成が大変になる

ドロップダウン形式の項目を選択する際に「条件分岐」を使う方法を紹介しましたが、問題点があります。
ドロップダウンの項目が多いほど条件分岐もその数だけ増える。

たとえば誕生日入力の場合、「月(12)」+「日(31)」で 43個の条件分岐 が必要です。
これは現実的ではありません。

■ 変数を応用すれば、条件分岐を大幅に減らせる

ここで役立つのが 変数の応用 です。
例として、雇用保険被保険者資格取得届の「取得区分」を取り上げます。

▼ 取得区分(ドロップダウン)
  • キーボードの「↓」1回 → 1:新規
  • キーボードの「↓」2回 → 2:再取得

この数値を VLOOKUP で取得 し、そのまま 変数に格納 します。

■ 変数をロボットに指定するとこう動く

変数名:取得区分
変数値:2

EzRobotでは次のように設定できます。

  • 「↓ キーを変数の回数だけ押す」
  • 今回は「2」が入っているので「↓ ↓」と操作

これだけで 取得区分:再取得 が選択されます。

■ 条件分岐なしでドロップダウンが選択できる

変数を使用すると:条件分岐が不要、ロボット作りがシンプル、メンテナンスも簡単 という大きなメリットがあります。

変数を応用することで、ドロップダウンの選択操作を効率化できます。「条件分岐が多くて大変…」という方には特におすすめの方法です。

また、“変数を使った入力”の考え方は、ほかの項目にも幅広く応用できることがわかります。引き続き、実務上つまずきやすい プルダウン(選択肢)項目の指定方法 を中心に整理してみます。

実務上のプルダウン項目指定(各論)

「6.性別」の場合

プルダウン項目は、Excel側で数値化してから変数へ格納する方法があります。
男性:1、女性:2

あらかじめExcelでVLOOKUP等を用いて「文字 → 数値」の置換表を作っておくと、
ロボット側は“数値を貼るだけ”の処理にできます。

「7.生年月日」の場合

元号の指定もプルダウン項目ですので、同様に数値に変換して指定します。
大正:1、昭和:2、平成:3、令和:4

一方で「年」の箇所はプルダウン形式ではないため、Excelシートからそのままコピー&ペーストで問題ありません。また「月」「日」についても、日付をそのまま変数に格納することで指定が可能です。

なお、生年月日についてはVLOOKUPを使わず、Excel側で入力形式を整えた上で指定している例もあります(※前回までの設計ルールに合うやり方で統一できればOKです)。

「9.被保険者となったことの原因」の場合

こちらもプルダウン項目ですので、選択肢を数値で指定できるようExcel側で準備します。

  • 新規雇用(新規学卒):1
  • 新規雇用(その他):2
  • 日雇いからの切替:3
  • その他:4
  • 出向元への復帰等(65歳以上):5
ほかのプルダウン項目も同様の考え方でOK

このように、プルダウン形式の項目はすべてExcel側で数値置換の仕組みを用意しておくと、ロボット設計が一気にシンプルになります。

③ この段階でやるべきこと

ここまでの作業で、「転記元から転記先へ、どの順序で、何を、どう貼り付けるか」 という全体像を固めることができます。

この時点で、入力フォーマット(RPA用のExcelシート)はほぼ形になっており、シナリオの組み方についても頭の中で大枠の構想が描けている状態になります。最初は難しく感じるかもしれませんが、回数を重ねるほど「この項目はこう扱う」「この順で処理すればいい」とイメージが湧きやすくなっていきます。

すべてを1枚にまとめる必要はない

RPA用の情報は、必ずしも1枚のExcelシートに集約する必要はありません。(もちろん、まとまっていた方が処理が早くなる傾向はあります。)たとえば、手動でこの作業を行っている社労士事務所様の場合、入力対象が以下のように複数社にまたがるケースも一般的です。

  • 顧客(会社)A:4人
  • 顧客(会社)B:6人
  • 顧客(会社)C:2人
事業主情報は“別管理”でも問題なし

資格取得をしたい被保険者の情報が、Excel上で横一列に並んでいると仮定した場合、

同じ構成で「事業主:住所」「事業主:氏名」「事業主:電話番号」を横一列に用意して処理することも可能です。しかし実務では、「事業主の情報は別の場所(別シートや別管理表)に記載している」 というケースの方が多いかと存じます。事業主用のシートと顧客用のシートが別々に存在する場合でも、変数や繰り返しを応用することで、 各事務所様のシート形式に合わせたロボットを組むことが可能です。

“入力する人の負荷”を最小にする

RPA用のシート作成に意識が向きすぎて、普段の入力業務が大変になってしまっては本末転倒です。入力者の負荷を最低限に抑えたフォーマット作成を意識しましょう。

運用上、たとえば「数字は全角ではなく半角で入力する」といった最低限のルール追加は発生するかもしれません。最初はシート作成だけでも大変に感じ、「今まで通りの方が楽」と感じる方もいらっしゃるかと思います。ただ、一度作ってしまえば長期的に使い続けられる資産になります。

成功事例に共通する姿勢

実際に業務改善に成功している社労士事務所様は、成果につなげていらっしゃいます。「今まではこれで回ってきたから、今後もこのままで大丈夫」ではなく、未来を見据えて一歩ずつ整えていく 印象を強く受けます。「興味はあるけど、具体的にどう進めればいいかわからない」という状態からスタートされる事務所様が大半です。ぜひ、お手伝いをさせてください。

ここからは、EzRobotの基本操作をある程度習得されている方向けの内容としてご紹介いたします。


ロボットの大枠の流れ

今回想定するロボットの大枠は以下の流れです。

  1. 事業主情報、届出年月日、申請先等を変数に格納
  2. ~繰り返し開始(データがなくなるまで)~
    1. 被保険者の情報を変数に格納
    2. 変数の情報をもとに、資格取得届へ入力
    3. 帳票作成 → PDFで保存
    4. PDFに個人番号を入力 → 保存
  3. ~繰り返し終了~
リスト一括取込で“変数格納”をまとめて短縮

Excel上で被保険者データを横一列の転記元形式に整えておくことで、上記の「被保険者の情報を変数に格納」の工程を1項目ずつ順番(→格納、→格納…)に行うのではなく、データ取込(リスト一括取込)でまとめて行えるようになります。

この方法により、変数に1つずつ格納していく工程が省略され、ロボットの稼働時間を大幅に短縮することが可能になりました。

推奨する考え方:安定稼働を最優先しつつ、できるだけ速く

弊社としては 「安定稼働を最優先した上で、極力早く処理できる構成を考える」 という組み方を推奨いたします。
なるべく1ヵ所にまとまっている方が工程が少なく済みます。1台のPCをフル活用するには、1台あたりの作業効率を最大限引き上げ、安定して稼働させる という考え方が重要になります。

安定稼働に欠かせない「待機」の設計

Webを絡めたロボットでは、読み込み時間にばらつきが出ます。このような場面で「画像待機(現れるまで)」などを活用することで、「Webページがきちんと読み込まれるまで待つ」指示が可能になります。秒数待機は長めに設定すれば安定はしやすい一方で、不要な待機時間が発生しやすいため、Web等の読み込み待ちには「画像待機(現れるまで)」を推奨いたします。


RPAを使用してPDFに文字を入力する方法

EzRobotは、さまざまなソフトを行き来して操作できることが特徴です。
今回のケースでは、ハローワークインターネットサービス、Excelに加え、もうひとつソフトを追加していきます。
社労士の先生に限らず、「PDFに入力したい」というケースは少なくないかと存じます。

PDFの「個人番号」欄をRPAで入力する

この「1.個人番号」だけはWeb上から入力ができないため、印刷後に手書きで個人番号を記入している事務所様が多いのではないでしょうか。出力すると当該欄は空白になっていますが、この手書き部分もEzRobotで自動化します。

PDF編集ソフトを追加して利用する

今回使用するのは 「PDF-XChange Viewer」 です(基本機能無料)。
今回のロボットでは、以下のような流れで組み込んでいます。

  1. 帳票作成をクリック後、PDFを「PDF-XChange Viewer」で開く
  2. 変数に格納した個人番号をPDF上の該当箇所へ入力
  3. 枠や文字サイズ・位置を調整し、上書き保存

これにより、個人番号欄への入力まで自動処理が可能になりました。

印刷作業まで自動化することも可能

印刷作業まで自動化することも、もちろん可能です。

ここまで組み上げることができれば、完全放置でもRPAが自動で最後まで処理してくれる状態に近づきます。

実際の稼働イメージを動画で確認

上記の動画では、2名分の情報を処理しています。2人目と3人目の間に空白の行を挟むことで、2人目の処理が終わった時点でロボットが停止する仕組みになっています。上記はほんの一例ですが、印刷をしたい、指定したフォルダに保存したい、エクセルではなく別の箇所から情報をもってきたい。といった自由なカスタマイズが可能です。

安定稼働は「適切なサポート利用」から

乗り換えて頂いた事務所様からは「動作が安定していて操作も覚えやすく、サポート対応が早くて非常に助かります!」といったお声もいただいております。もしお悩みであれば、実務経験豊富な専任エンジニアが無料でアドバイスさせていただきます。一般企業様の導入については、グループサイトの中小企業RPA研究会にて詳細をご案内しております。まずは[無料トライアル]や[お問い合わせ]より、お気軽にご相談ください。

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