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【コラムまとめ】RPAによる産前産後/育児休業等取得者申出書の自動化
投稿日:2021-04-09

こんにちは。社労士事務所RPA研究会事務局です。
今回は
「産前産後休業取得者申出書変更(終了)届」「育児休業等取得者申出書(新規・延長)終了届」
の2種類を例に、RPAの組み方や考え方について解説いたします。
※当コラムは
- 産前産後/育児休業等取得者申出書をRPAにより自動化①
- 産前産後/育児休業等取得者申出書をRPAにより自動化②
- 産前産後/育児休業等取得者申出書をRPAにより自動化③
- 産前産後/育児休業等取得者申出書をRPAにより自動化④
- 産前産後/育児休業等取得者申出書をRPAにより自動化⑤
- 産前産後/育児休業等取得者申出書をRPAにより自動化⑥
- 産前産後/育児休業等取得者申出書をRPAにより自動化⑦
- 産前産後/育児休業等取得者申出書をRPAにより自動化⑧
- 産前産後/育児休業等取得者申出書をRPAにより自動化⑨
- 産前産後/育児休業等取得者申出書をRPAにより自動化⑩
- 産前産後/育児休業等取得者申出書をRPAにより自動化⑪
を全てまとめ、ひとつで読める内容となっております。
対象となる2つの申出書
まずは対象となるExcel帳票を確認します。
-
「産前産後休業取得者申出書変更(終了)届」をExcelで開いた画面

-
「育児休業等取得者申出書(新規・延長)終了届」をExcelで開いた画面

多少の違いはあるものの、レイアウトや入力項目はよく似ています。
実務ではセットで使用することが多く、動作内容もほぼ共通なため、
今回のロボットはこの2つの帳票をまとめて自動化する前提で設計しました。
ロボット全体の流れ
今回作成したロボットの大枠は、次のとおりです。
-
RPA用Excel(入力元)から情報を参照し、変数に格納
-
「産前産後休業取得者申出書変更(終了)届」または「育児休業等取得者申出書(新規・延長)終了届」に入力
-
入力が終わったら、指定のフォルダへ保存
-
対象人数分だけ、①〜③を繰り返し実行
必要なファイルは、
-
RPA用Excelシート(入力元)
-
各申出書のExcel帳票(入力先)
の2種類だけです。
「ものすごく膨大な作業ではないけれど、地味に手間と集中力を持っていかれる」
――そんな業務ほど、RPAによる自動化の効果が大きくなります。
今回のケースでも、すでにRPAによる完全自動化に成功し、日々の負担軽減に大きく貢献しています。
社労士専用ソフトとの連携も可能
今回は説明しやすいようにすべてExcel内で完結するパターンとしてご紹介しましたが、実際には、
-
事業所情報
-
従業員情報
などを、
-
社労夢
-
SmartHR
-
セルズ
-
オフィスステーション
-
給与奉行
といった社労士専用ソフトから取得し、RPA用Excelへ自動転記したうえで申出書に反映させる、といった構成にすることも可能です。
こだわったポイントは「RPA用Excel」と「〇をつける動作」
今回のロボット作成で、特にこだわったのは次の2点です。
-
RPA用Excelのフォーマット設計
-
申出書内の「〇(丸)」をつける動作の実装
RPA用Excelのフォーマット設計は、過去のコラムでもたびたび登場しているとおり、今回のロボットでも必須かつ重要な要素です。
今回は、次の4つのシートで構成しました。

-
「RPA産休育休リスト」
-
「事業者情報」
-
「産休育休リスト変換」
-
「丸」
非常に完成度の高いRPA用Excelシートが整い、
今後のさまざまな業務自動化にも応用できる「型」になっています。
このRPA用Excelには、いろいろな自動化に横展開できるアイデアが詰まっているため、
理解が進むと
「この仕組みを使えば、あの書類も、この書類もRPAで作れそうだ」
というイメージを持っていただけるはずです。
それでは、今回のロボットのもう一つのポイントである
「申出書内の該当箇所に〇をつける動作」
について、具体的な考え方と実装イメージをご紹介いたします。
〇をつける対象となる項目
産前産後休業取得者申出書変更(終了)届、育児休業等取得者申出書(新規・延長・終了届)には、次のような「該当する項目に〇をつける」欄があります。

-
被保険者の生年月日(和暦の選択)
-
休業区分の選択
-
その他、複数選択肢からの該当区分 など
人が手作業で行う場合は、マウスで該当箇所をクリックして〇を配置しますが、このちょっとした作業も件数が多くなると意外と時間がかかります。
「〇の図形」をコピー&ペーストで使い回す

RPAで〇付けを自動化するにあたり、今回は次のような方針を取りました。
-
申出書側に、あらかじめ〇の図形を1つ作成しておく
-
その〇をコピーして、該当セルにペーストする
-
必要に応じて矢印キーで微調整する
具体的には、RPA用のExcelブックに「丸」というシートを用意し、そのシート内に〇の図形だけを配置しておきます。

ロボットはこの「丸」シートから〇をコピーし、入力先の申出書にペーストしていく、というイメージです。
そのまま貼ると「左上」に寄ってしまう問題
ここで1つ問題が生じます。
対象セルを選択してそのままペースト(Ctrl+V)をすると、〇はセルの左上に張り付いてしまいます。

そのため、例えば「被保険者生年月日」の項目であれば、
-
〇をペースト
-
〇が選択されている状態で矢印キー(→、↓)を押して位置を調整
という形で、該当の和暦(昭和/平成/令和)の上に〇を移動させる必要があります。
ここで条件分岐を使い、
-
入力元が昭和の場合:→を●回押してから↓を●回押す
-
入力元が平成の場合:→を●回押してから↓を●回押す
-
入力元が令和の場合:→を●回押してから↓を●回押す
というように、選択された元号に応じて移動量を変えることで、正しい位置に〇を置けるようにします。
矢印キー連打は「長押し」に置き換える
ただし、矢印キーを1回押すごとの移動量はごくわずかです。
そのため、単純に
-
「→を1回押す」
-
「↓を1回押す」
といった操作を何十回も繰り返すロボットにしてしまうと、シナリオも長くなり、処理時間も無駄にかかってしまいます。
ここで役に立つのが、EzRobotの「キー操作」機能にある次の設定です。


-
押すキー:↓
-
繰り返し回数:15回
-
1操作ごとの待機時間:0.0秒
このように指定すると、
「↓キーを15回、ほぼ待機なしで連続入力する」
という、いわゆる「長押し」と同じ動きになります。
同様に「→キー」についても回数と待機時間を調整すれば、少ないシナリオ行数で、〇の図形を一気に目的の位置まで移動させることができます。
〇付け作業を自動化するメリット
〇をつけるだけの作業ですが、RPAで自動化することで次のようなメリットがあります。
-
1件ごとの作業時間の短縮(特に件数が多いほど効果大)
-
選択ミスの防止(誤った項目に〇をつけてしまうリスク低減)
-
他の入力項目と一体化した「ひな形ロボット」として再利用しやすい
今回ご紹介したように、
-
〇を1つ図形として用意しておく
-
コピー&ペーストとキー操作の工夫で位置を調整する
という考え方は、産前産後・育児休業関連の申出書以外の「チェック欄」でも応用が可能です。
今回のまとめ
今回は、産前産後/育児休業等取得者申出書の「〇をつける動作」をRPAで自動化するポイントをご紹介しました。
-
〇は図形として1つ用意しておき、RPAでコピー&ペースト
-
条件分岐と矢印キー操作で、該当項目へ自動で移動
-
EzRobotの「キー操作」設定(回数+待機時間0.0秒)で長押し風に高速移動
こうした小さな工夫の積み重ねが、申出書作成の自動化精度とスピードを大きく左右します。ぜひ自事務所の申請業務にも応用してみてください。
続いて、
「産前産後/育児休業等取得者申出書」をRPAで自動化する際に使用する RPA用Excel についてご紹介させて頂きます。
以下の画像内では、以前にご紹介したものとはシート名が変わっておりますが、中身は同じです。
RPA用Excelの構成(4つのシート)
今回用意しているRPA用Excelは、次の4シート構成になっています。
-
人が入力する用のシート(従業員情報)
-
人が入力する用のシート(事業者情報)
-
①をRPA用に変換するシート
-
〇の図形が入ったシート
「4. 〇の図形が入ったシート」の使い方については
「産前産後/育児休業等取得者申出書をRPAにより自動化②」 で解説済みのため、今回はそれ以外のシートを中心にご説明します。
① 従業員情報シート:人が入力するための台帳
最初のシートは、人が入力する用の従業員情報シート です。
-
産前産後の申請
-
育児休業の申請
どちらにも対応できるように設計した共通フォーマットになっています。


横長のシートのため、実際の画面では2枚に分けて表示していますが、構造としては1つの大きな表です。
-
2行目・3行目:入力例(サンプル)
-
5行目以降:実際の入力行
また、1行目には「その列の情報が、申出書のどの項目に反映されるか」を記載 しており、
-
どのセルがどの帳票項目と対応しているのか
-
RPAでどの列を拾えば良いのか
が一目で分かるようになっています。
さらに、入力内容が決まっている項目については、次のように プルダウン(ドロップダウン)で選択できる形式 にしてあります。

-
区分(産前産後/育児休業 など)
-
性別、種別 など、定型的な選択肢
これにより、入力ミスを防ぎながら、RPAが扱いやすいきれいなデータを用意できます。
なお、今回は 「すでにExcel内に必要情報が入力済み」という前提 でロボットを組んでいますが、
社労夢・SmartHR・セルズ・オフィスステーション・給与奉行などの 社労士専用ソフトから値を取得して埋める構成 にすることも可能です。
② 事業者情報シート:事務所・事業所の共通情報
2つ目は、事業者情報シート(人が入力する用) です。

こちらには、申出書作成に必要な 事業者側の共通情報 をまとめておきます。
-
事業所名
-
所在地
-
事業主氏名
-
事業所整理番号 など
今回はご依頼頂いた社労士様からのご要望により、
「ひとつの事業所のみで使用する前提」だったため、あらかじめ固定値として入力しておく形式にしました。
複数の事業所で利用する場合には、
-
事業所ごとに行を分けて複数登録する
-
事業所コードなどで絞り込んで該当行のみRPAが参照する
といった拡張も可能です。
こちらのシートについても、従業員情報と同様に Excelでなく社労士専用ソフトから取得する構成 に変更することもできます。
1行目を「細かく項目分け」している理由
事業者情報シートの1行目については、
A1~H1のセルを結合して見やすくする
といった見た目重視の作りにすることもできますが、今回はあえて 1セルずつ細かく分けています。
これは、
-
RPAから見て「どのセルがどの項目か」を明確にする
-
セル結合によるズレ・取り扱いの面倒さを避ける
といった RPA側の仕様・扱いやすさを優先した設計 です。
見た目よりも「ロボットが正確に読み書きできるか」を優先することで、後々のメンテナンス性・再利用性も高めています。
この「なぜ細かく分けているのか?」というポイントについて
② 事業者情報シートの中身をもう少し掘り下げて解説 させて頂きます。
Excelの情報を変数に格納する流れ
ロボットの基本的な動きは、
Excel内の情報を変数に格納 → 入力先に値を貼り付け
という流れになります。
この「変数に格納」という処理を行う際に使用するのが、EzRobotの
データ取込(リスト一括取り込み)
という機能です。
※「雇用保険被保険者資格取得届の作成を自動化⑦」でも触れている機能です。
「1行目=変数名」として扱う仕組み
リスト一括取り込みを使うとき、EzRobotでは
「1行目を変数名として使用する」
という指定ができます。
つまり、Excelの1行目に書かれている文字列が、そのままRPA側での「変数名」として扱われます。
ここで注意が必要なのが、セル結合です。
-
A1~H1を1つのセルに結合してしまうと
-
RPA側から見ると「1つの変数名」としてしか認識できない
その結果、**ひとつひとつのデータを個別に認識できなくなってしまいます。
そこで今回のシートでは、セル結合を使わず、1列ごとに別々の変数名を振る 形にしています。
事業所整理記号・郵便番号を「1桁ずつ」分ける理由
実際の設定例は次の通りです。
-
A1:事業者整理記号1

-
B1:事業者整理記号2

-
C1:事業者整理記号3

といった形で、1桁ごとに別の変数名 を設定します。
郵便番号についても同様です。
-
I1:事業所郵便番号1

-
J1:事業所郵便番号2

というように、1マスずつ名前を振っています。
こうして1行目の情報をすべて「変数名」として扱い、
2行目以降の値を丸ごと一括で変数に格納 するのがポイントです。
帳票側のレイアウトと1セルずつ対応させる
ここまで細かく分割している理由は、入力先の帳票側のレイアウト にあります。

例えば、申出書側の該当箇所を見ると、
-
事業者整理記号
-
事業者所在地の郵便番号
-
事業者所在地の電話番号
-
個人番号(基礎年金番号)
-
被保険者氏名
-
被保険者生年月日
-
出産予定年月日
といった項目が、すべて1マスずつバラバラに分かれて配置 されています。
そのため、
「Excel側も1マス=1変数名」になるように分割しておく
ことで、
-
リスト一括取り込みで変数へ格納しやすい
-
帳票の各セルへ、対応する変数をそのまま入力しやすい
という、RPA向きのきれいなマッピング が可能になります。
このように、
「Excelの1行目をどう設計するか」=「RPAで扱いやすい変数設計」
という視点でフォーマットを作っておくことが、
産前産後・育児休業等申出書の自動化をスムーズに進めるポイントになります。
事業者情報は最初からRPA用フォーマットに
「② 人が入力する用のシート(事業者情報)」については、
そもそも入力の頻度が少なく、
-
一度入力してしまえば基本的に使い回せる内容
であるため、最初からRPA用の形式で入力する前提にしました。
一方で、従業員情報はそうはいきません。
対象者ごとに名前も生年月日も毎回変わるため、
-
最初からRPA用に細かく分割して入力させる
という運用にしてしまうと、人の手間が増えて本末転倒です。
RPA導入の目的はあくまで「業務自動化・業務効率化」ですので、
作業者の負担はできる限り減らした形にしたいところです。
①をRPA用に変換する中間シートを用意
そこで登場するのが、
③ ①をRPA用に変換するシート
です。
このシートは、
-
①のシートに人が入力した情報を
-
産前産後/育児休業等取得者申出書のレイアウトに合わせて
-
そのままコピー&ペーストできる形に分解しておくためのシート
という位置づけになります。
②のシートと同様に、③のシートでも

-
1行目に変数名をひとつずつ割り振り
-
RPA側から「リスト一括取り込み」で扱いやすくする
という設計にしています。
日付などの情報を細かく分解しておく
③のシートは、申出書のフォーマットに合わせて、セル単位で値を分けた構造になっています。
例えば、日付の場合は、
「令和2年9月1日」
という1つの情報を、
-
令和
-
2年
-
9月
-
1日
という形で4つの情報に分解して持たせます。
こうしておくことで、
-
Excel側では人が入力しやすい形(①)
-
RPA側では帳票にそのまま流し込みやすい形(③)
の両立ができるようになります。
社労士専用ソフトから直接取るパターンでも活用可能
「すでに社労士専用ソフトに情報があるから、わざわざExcelに貼り付けたくない」
と感じた方もいらっしゃるかもしれません。
その場合でも、
-
ロボットが社労士専用ソフトから値を取得
-
いったんExcelに貼り付けて③のシートで分解
-
申出書の入力先に貼り付け
という流れを組めば、同じ考え方で自動化が可能です。
社労士専用ソフト上でも、生年月日・基礎年金番号などの情報は、
「ひとまとまりの文字列」として格納されていることが多いため、
-
最終的に申出書フォーマットに合わせて分解する工程は必須
-
その中継地点として Excel を一度挟む
という設計が、結果的に一番扱いやすくなります。
次は、ロボットの話というよりはExcelの話になりますが、
①のシートのデータを、どのようにしてRPA用に分解しているのか
を、具体的なシート構成・関数の考え方も含めて解説させて頂きます。
人が入力するシートと申出書フォーマットのギャップ
![]()
まず、人間が入力する日付などのシートは、
1行に「出産予定日」「開始日」などがまとめて1項目として入力されている形式です。
(※社労士専用ソフトから日付を取得することも可能です)
一方で、入力先となる
「産前産後/育児休業等取得者申出書」のExcelフォーマットは、
-
年
-
月
-
日
のように、セルがバラバラに分かれている項目が多く存在します。

生年月日や出産種別などの「〇」をつける動作については、
すでに「産前産後/育児休業等取得者申出書をRPAにより自動化②」で解説済みのため、本稿では割愛します。
RPA用シートを作る目的
![]()
このギャップを埋めるために作るのが、
**「RPA用のシート」**です。
RPA用シートでは、
-
入力元となる「人が入力するシート」の値を受け取り
-
申出書フォーマットのレイアウトにそのまま貼り付けられる形に分解しておく
という役割を持たせます。
イメージとしては、
「人が入力しやすいシート」と
「RPAが扱いやすいシート」を分ける
という構造です。
例:出産予定日を分解するイメージ
例えば「出産予定日」を例に取ると、

人が入力するシート側では次のように1セルにまとめて入力します。
-
例:
2024/05/10あるいは令和6年5月10日
これをRPA用シートでは、次のように複数セルへ分解します。
-
元号(令和など)
-
年
-
月
-
日
といった形で、申出書の各セルに対応するように分けておくイメージです。

この状態まで作り込んでおけば、RPA側の動作は非常にシンプルになります。
RPA側の動きがシンプルになるメリット
RPA用シートが整っていれば、ロボットの処理は
-
RPA用シートの情報を一括で変数に格納
-
産前産後/育児休業等取得者申出書のExcelに順番に転記
というだけのシンプルな流れで済みます。
その結果として、
-
ロボット稼働時間(処理時間)の短縮
-
シナリオの行数削減・見通しの良さ
-
後からのメンテナンスが簡単になる
といったメリットが得られます。
手間がかかるのは最初にRPA用Excelシートを設計する時だけで、
一度形を作ってしまえば、あとは長く使い回せる資産になります。
■ 出産予定日の日付を2段階で分解する考え方
「出産予定日」のような日付は、元のシートでは通常どおり「日付形式」で1つのセルに入力されています。
しかし、産前産後/育児休業等取得者申出書のフォーマット側では、
-
元号(令和 など)
-
年
-
月
-
日
といった形で、1桁ずつ別々のセルに分かれているため、そのままでは貼り付けができません。
そこで今回は、次の2段階に分けて日付を分解しています。
-
TEXT関数で「元号/年/月/日」を文字列として抽出
-
MOD関数とROUNDDOWN関数で各桁をさらに分解
■ STEP1:TEXT関数で「元号/年/月/日」を取り出す
まず、RPA用シートの G〜J 列で、元のシート(日付セル)から TEXT 関数を使って要素ごとに取り出します。
※例:元シートは「RPA産休育休リスト」E2セルに日付が入力されているケース

- =IF(RPA産休育休リスト!E2=””,””,TEXT(RPA産休育休リスト!E2,”ggg”)) ‘ G列:元号
=IF(RPA産休育休リスト!E2=””,””,TEXT(RPA産休育休リスト!E2,”e”)) ‘ H列:和暦の年
=IF(RPA産休育休リスト!E2=””,””,TEXT(RPA産休育休リスト!E2,”m”)) ‘ I列:月
=IF(RPA産休育休リスト!E2=””,””,TEXT(RPA産休育休リスト!E2,”d”)) ‘ J列:日
-
元のセルが空白の場合は空欄を返す
-
値がある場合のみ、元号・年・月・日を文字列として抽出
これで、「令和」「2」「9」「1」といった単位まで分解できました。
■ STEP2:MOD関数+ROUNDDOWN関数で1桁ずつに分解
次に、H〜J列で取得した数値(年・月・日)を、さらに「十の位」「一の位」に分割します。
結果を K〜P 列などに表示しておき、RPAからはこの1桁ずつを順番に読み込んでいきます。
使用した式は以下のとおりです(一例):
- =IF(H2=””,””,MOD(ROUNDDOWN(H2/10,0),10)) ‘ H列(年)の十の位
=IF(H2=””,””,MOD(H2,10)) ‘ H列(年)の一の位 - =IF(I2=””,””,MOD(ROUNDDOWN(I2/10,0),10)) ‘ I列(月)の十の位
=IF(I2=””,””,MOD(I2,10)) ‘ I列(月)の一の位 - =IF(J2=””,””,MOD(ROUNDDOWN(J2/10,0),10)) ‘ J列(日)の十の位
=IF(J2=””,””,MOD(J2,10)) ‘ J列(日)の一の位
このようにして、
-
「2桁の数値」 → 「十の位」「一の位」
に分解しておくことで、申出書側の1マスずつに、RPAで迷いなく転記できるようになります。
■ 出産種別など他項目とのあわせ技
出産種別のように、そのまま1セルで完結している項目については、単純に元シートを参照するだけです。
=RPA産休育休リスト!F2&””
このように同じシート内に、日付や出産種別など「申出書に入力したい情報」をすべて揃えておくことで、
-
EzRobotの「リスト一括取り込み」で1行分を丸ごと変数に格納
-
その変数を、産前産後/育児休業等取得者申出書の各セルへ順番に貼り付け
という、シンプルで処理速度の速いロボット構成が実現できます。
RPA用シートで分解した日付をそのまま貼り付け
前回までの工程により、RPA用シート上では、たとえば出産予定日の1つの日付が次のように分解されています。
-
G2:令和
-
K2:0
-
L2:1
-
M2:0
-
N2:9
-
O2:0
-
P2:1

これらをEzRobot上でそれぞれ変数に格納することで、
産前産後/育児休業等取得者申出書の各セルへ「そのままペースト」できる状態になりました。
RPA側は「G2~P2を決められた順番で貼り付けるだけ」で済むため、
シナリオはシンプルになり、処理も安定しやすくなります。
すべての日付項目を同じ要領で整理する
日付関連の項目は、同じロジックで量産できます。たとえば以下のような項目です。
-
出産予定日
-
産前産後休業開始予定日
-
産前産後休業終了予定日
-
出産日
-
変更後出産予定日
-
変更後産前産後休業開始日
-
変更後産前産後休業終了予定日
-
産前産後休業終了日
-
養育開始年月日(実子以外)
-
育児休業等開始日
-
育児休業等終了予定日
-
延長育児休業等終了予定日
-
育児休業等終了日
一度「日付を元号・年・月・日→十の位/一の位に分解する」型を作ってしまえば、
あとは参照元セルを変えながら横展開するだけで、すべての項目に対応できます。
この考え方は、今回の申出書に限らず、
-
生年月日
-
申請日
-
賃金対象期間の日付
など、「転記元と転記先の形式が違う」場面でも、そのまま応用可能です。
基礎年金番号は「RPA動作中に取得する」設計
続いて「基礎年金番号」の扱いについてです。
今回は、あらかじめExcelに基礎年金番号を入力しておくのではなく、
-
RPA実行中に社労士専用ソフトを開く
-
対象者の基礎年金番号を取得
-
RPA用シートにペースト
-
その後、申出書の該当欄に転記
という流れで自動化しています。
このときも、RPA用シート側では「申出書のマス目構成」に合わせて基礎年金番号を分解しておきます。
(日付と同様に、1桁ずつに分けておくイメージです)
こうしておくことで、
-
取得元(社労士専用ソフト)は将来変わってもよい
-
申出書側のレイアウト変更にも対応しやすい
-
別の帳票で基礎年金番号を使い回すことも簡単
といったメリットが得られます。
基礎年金番号の分解方法については、次回コラムで詳しく解説します。
今回のまとめ:Excelで「RPA用の下ごしらえ」をしてから、RPAで流す
今回のポイントは次のとおりです。
-
日付は「元号・年・月・日」をさらに1桁ずつに分解しておくと、RPAからは転記するだけで済む
-
同じ分解ロジックを使えば、申出書内の全ての日付項目を一括で整理できる
-
基礎年金番号も、RPA稼働中に社労士専用ソフトから取得 → RPA用シートに分解 → 申出書へ転記という流れが有効
RPA側のシナリオをシンプルに保つためには、Excel側で「RPA用の下ごしらえ」をしておくことが重要です。
この考え方を押さえておくと、他の帳票・他の業務にも応用しやすくなります。
基礎年金番号をRPAで扱う際のポイント
基礎年金番号は「1234-567890」のように4桁と6桁の組み合わせによるものでして、今回使用した社労士専用ソフトでは4桁と6桁があらかじめ分かれていました。
RPA上の動作としては、次のような流れになります。
-
社労士専用ソフトを開く
-
対象者の情報の項目へ移動
-
基礎年金番号の値を変数に格納
-
RPA用シートのExcelに貼り付け
こちらの手順は社労士専用ソフトによって仕様が異なるため、詳細は省略させて頂きます。
RPA用Excelでの項目設計
RPA用シートでは、次のように項目を作成しています。
-
「C列」に4桁の基礎年金番号
-
「D列」に6桁の基礎年金番号
この状態のままでは、他の項目と同様に「そのまま申出書へペースト」という訳にはいきません。

申出書側ではマス目が1桁ずつに分かれているため、1つ1つの数字に分解する必要があります。

MOD関数とROUNDDOWN関数で1桁ずつに分解する
分解方法は、日付の分解でも使った MOD関数 と ROUNDDOWN関数 を組み合わせて対応しました。
今回は2行目の値を参照する想定で、使用した関数は以下の通りです。
- =IF(C2=””,””,MOD(ROUNDDOWN(C2/1000,0),10))
- =IF(C2=””,””,MOD(ROUNDDOWN(C2/100,0),10))
- =IF(C2=””,””,MOD(ROUNDDOWN(C2/10,0),10))
- =IF(C2=””,””,MOD(ROUNDDOWN(C2/1,0),10))
- =IF(D2=””,””,MOD(ROUNDDOWN(D2/100000,0),10))
- =IF(D2=””,””,MOD(ROUNDDOWN(D2/10000,0),10))
- =IF(D2=””,””,MOD(ROUNDDOWN(D2/1000,0),10))
- =IF(D2=””,””,MOD(ROUNDDOWN(D2/100,0),10))
- =IF(D2=””,””,MOD(ROUNDDOWN(D2/10,0),10))
- =IF(D2=””,””,MOD(ROUNDDOWN(D2/1,0),10))

これらの関数を使うことで、4桁+6桁の基礎年金番号を1桁ずつのセルに分解することができました。
申出書への転記をシンプルにする狙い
この工程により、基礎年金番号についても無事に分解できたため、
-
申出書側の 基礎年金番号入力欄(マス目)
に対して、そのままペーストできる形が整いました。

RPAシナリオ側では、
-
「分解済みのセルを順番にコピーして貼り付ける」
だけのシンプルな動きになるため、処理速度・保守性の両面でメリットが大きくなります。
氏名だけ残った「最後の1ピース」
これまでの内容の応用により、RPA用シートの作成はほぼ全て完成となります。
今回は最後のひとつ「氏名」について解説させて頂きます。
産前産後/育児休業等取得者申出書だけでなく、さまざまなシーンで入力することの多い「氏名」ですが、
「姓」と「名」を別々に入力するケース も多々あります。
「姓」と「名」をどう判別するか?
RPA上で考えると、転記元(今回で言えばRPA用シート)が最初から「姓」と「名」で分かれていれば、
そのまま変数に格納して貼り付けるだけで済みます。
しかし、1つのセルにフルネームが入っている場合、どのようにして「姓」と「名」を判別すれば良いでしょうか。
たとえば「田中太郎」という名前があったとして、人が見た場合は経験則に基づいて
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姓:田中
-
名:太郎
と自然に判別できますが、理屈の上では
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田中太/朗
-
田/中太郎
というパターンの可能性もゼロではありません。
「姓」も「名」も、どちらも文字数に決まったルールはありません。
このままでは、RPA上で正確な判定をするのはほぼ不可能 に思えます。
ルールを1つ決めて、RPAが扱える形にする
そこで今回は、人が入力する段階でルールを決める ことにしました。
氏名を入力する際は、「姓」と「名」の間に全角スペースを入れる
例)
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田中 太郎
-
山本 花子
このルールさえ徹底できれば、「スペースの位置」で姓と名を切り分け られるため、
Excel関数で安全に「姓」と「名」を分解できます。
Excel関数で「姓」と「名」を分ける
RPA用シートでは、氏名を入力するセル(例:A4)に
「田中 太郎」のように 姓と名の間に全角スペース を入れておきます。
この状態で、以下の関数を使って「姓」と「名」に分割しました。

=IF(A4=””,””,LEFT(A4, FIND(“ ”, A4)-1))
=IF(A4=””,””,RIGHT(A4, LEN(A4)-FIND(“ ”, A4)))

-
1つ目の式:全角スペースまでを取り出して「姓」を抽出
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2つ目の式:全角スペースより右側を取り出して「名」を抽出
このようにして、氏名をきれいに分けることができます。
氏名分解まで終われば、RPA用シートは「ほぼ完成」
ここまでの工程により、日付・基礎年金番号に続き、氏名もRPAがそのまま扱える形に分解 できました。
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RPAは「分解済みのセル」を順番に変数へ格納
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産前産後/育児休業等取得者申出書の各セルに、そのまま貼り付け
という、シンプルで分かりやすいロボット構成 にできます。
それでは、実際に稼働している動画をご紹介させて頂きます。
Excelで「転記するだけ」の状態まで仕上げる
ここまでの作業により、産前産後/育児休業等取得者申出書に入力するためのデータは、すべてExcel上で整理できました。
あとは RPA側では「Excelから読み取り → 申出書へ転記」するだけ の状態です。
今回動画でご紹介するロボットは勘定奉行を使用したものになりますが、
それぞれの社労士事務所様の運用やフォーマットに合わせて、柔軟にカスタマイズすることが可能です。
事務所ごとのやり方に合わせてカスタマイズ
実際の動画をご覧になると、
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「うちの事務所なら、ここの動きはこうしたい」
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「うちの運用だと、この部分は別の順番の方が良さそう」
と感じる点も多々あるかと思います。
その場合でも、RPAの組み方(シナリオ)を少し変えるだけで、事務所ごとのやり方にフィットさせることが可能 です。
RPAは「一度作ったら終わり」の固定ツールではなく、運用に合わせて育てていける仕組みだとお考えいただければと思います。
「ルール化」次第で広がるRPAの可能性
このように、RPAではPC上で行うさまざまな業務を自動化することができます。
よく
RPAは「人が考える作業はできない」「単純な作業しかできない」
と言われますが、これは半分正しく、半分はもったいない捉え方です。
「どのようにしてルール化するか」 を工夫することで、
一見人がやるしかないように見える処理でも、自動化できるケースは想像以上に多く存在します。
最終的な自動化の範囲や精度は、RPAツールそのものの性能だけでなく、
ロボット作成者の発想力と設計力によって大きく変わる といっても過言ではありません。
このコラムでお伝えしたかったこと
当コラムを通じて、
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「RPAができること・できないこと」のイメージ
-
Excelとの組み合わせによる自動化の広がり
-
社労士業務における具体的な活用イメージ
が、少しでも広がっていましたら幸いです。
産前産後/育児休業等取得者申出書のように、
一見ややこしく見える帳票でも、前処理をExcelで整理し、RPAで転記するだけの形に落とし込めば十分自動化が可能 です。
「うちの事務所のこの作業も、もしかしてRPAでいけるのでは?」と感じたタイミングが、
まさにご相談いただくベストなタイミングかと思います。
EzRobotは社労士事務所向けに、非常に導入ハードルの低い製品となっております。
- 初期費用0円(導入費用・追加費用・解約費用等一切無し)
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